バナー1
HOME WHAT'S NEW LINK SITE MAP
ブライト LIBRARY
ブライト FOCUS
チョッとひと息
T  係争の経緯
(2008.6.16)
 
 
 東京都民銀行は、2003年4月、後に788特許「給与支払いシステム」として認められる特許出願(特願2003-105232)を行い、翌日、早期審査による審査の請求をしている。そして、拒絶査定不服審判での審理の末、788特許が成立する。
 他方、東京都民銀行は、2004年6月、上記特許出願の分割出願を行っている(特願2004-168265)。この分割出願は、早期審査を行った上記出願の拒絶査定不服審判請求のタイミングでされていることから、(審判の結果が思わしくない場合に)明細書中に記載された内容を別途権利化する余地を残すためとみられる。
 分割出願は、最終的には279特許として権利化されることになるが、審査請求の日が、「SOッCA」のサービス開始を報じる記事の掲載日と一致しているのは興味深い(ただし、この日に大幅に請求項を修正する補正書が提出されていることから、それまでにある程度の交渉がされていた可能性もある)。
 
 
サービスの提供、交渉の経緯
788特許
279特許

マーク32003.4.9
特許出願(最先の優先日は2002.12.19)。
マーク32003.4.10
審査請求。同月、早期審査に関する事情説明書を提出。
マーク32003.7.29
拒絶理由通知を受ける(29条1項等)。
マーク32003.9
東京都民銀行が、「前給」のシステムを完成させる。
マーク32003.9.11
意見書・補正書を提出。
マーク32003.10
東京都民銀行が、「前給」のセールスを開始する。
マーク32004.4.6
拒絶査定を受ける。翌月、補正書を提出。
マーク32004.5.6
拒絶査定不服審判を請求。
マーク32004.6.7
特許出願(最先の優先日は2002.12.19)。
マーク32004.8
東京都民銀行が、システムの送金回線容量の件で、旧UFJ銀行EC業務部に相談。このとき、ビジネスの概要を提示。
マーク32005.1
テイケイトレードが、SOッCA事業部新設。旧UFJ銀行との提携開始。
マーク32005.1.14
東京都民銀行が、「前給」のサービスを開始すると報道される。
マーク32005.1.18
拒絶理由通知を受ける(29条1項、2項)。
マーク32005.3.18
意見書・補正書を提出。
マーク32005.4.26
拒絶理由通知を受ける(36条)。
マーク32005.4.27
意見書・補正書を提出。
マーク32005.5.31
審決。
特許成立
マーク32005.6.10
788特許が成立。
マーク32005.7
東京都民銀行が、「前給」のサービス提供を開始する。
 

 
マーク32006.3.24 マーク32006.3.24
三菱東京UFJ銀行が、「SOッCA」のサービスを開始すると報道される(※1)。
審査請求。同時に、大幅に請求項を修正した補正書も提出。翌月、早期審査に関する事情説明書を提出。
マーク32006.5.30
拒絶理由通知を受ける(36条)。
マーク32006.6.15
意見書・補正書を提出。
マーク32006.9.12
登録査定。
特許成立
マーク32006.9.22
279特許が成立。
訴訟へ
マーク32007.7.2
東京都民銀行が、三菱東京UFJ銀行等に対し特許権侵害訴訟を提起。
マーク32008.6.6
第5回弁論準備において、東京都民銀行が訴え変更の申立書を提出し、「請求の趣旨」を変更するとともに、788特許(甲特許)の侵害に基づく主張を撤回する。また、弁護人の陣容にも一部変更あり。
和解へ
マーク32009.2
東京都民銀行が、準備書面による構成要件の充足性の主張と並行して和解案の検討を開始(ただし、この時点で裁判所の心証開示があったかどうかは不明)。
マーク32009.7.6
数回にわたる当事者の和解案提示を経て和解が成立(和解の内容は不明であるが、実質的に、東京都民銀行による特許権侵害の主張が認められなかったということである(※2))。

※1
三菱東京UFJ銀、実働分の給与、希望日に、払い込みサービス。
 (2006/03/24 日本経済新聞 朝刊)
 三菱東京UFJ銀行は企業の従業員が携帯電話やパソコンを使って指示すれば、給料日前でも希望する日に実働分の給与を口座に払い込む業務を今月中に始める。
 前払いを受けた利用者には、給料日にその分を差し引いた金額を入金する。警備会社などのように一日単位や週単位で働く人を抱える企業のニーズが強いと判断した。佐川急便の物流子会社やパチンコ最大手のマルハンなどがすでに新サービスの採用を決めた。
 利用希望企業はまず一定金額を三菱UFJに預金しておく。従業員が給与の一部前払いや経費の仮払いを請求すると、三菱UFJが従業員の個人口座に入金する。従業員は郵便局を除く金融機関の個人口座を使うことができ、三菱UFJに口座を開く必要はない。利用企業の手数料は最低一カ月五千円で、これとは別に月内の利用人数ごとに二百円ずつかかる。
 
※2
都民銀と三菱東京UFJ銀、「給与前払い」特許で和解。
 (2009/06/17 日本経済新聞 朝刊)
 銀行が取引先企業に代わって従業員に給与を前払いするサービスのビジネスモデル特許を侵害したとして、東京都民銀行が三菱東京UFJ銀行に損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁で和解が成立したことが16日、分かった。
 問題になったのは三菱東京UFJ銀が2006年3月に始めた「社員希望日払いサービス」。都民銀が07年、同行の「前給」というサービスのビジネスモデル特許を侵害しているとして、1600万円の損害賠償などを求め東京地裁に提訴した。  和解条件の詳細は不明だが、都民銀が請求しないことで両者が合意したもようだ。
 三菱東京UFJ銀行は「主張通り特許侵害がないと認められた形で、今後もサービスを提供できることになった」と話す。東京都民銀行は「営業機密にかかわるので詳細は言えないが、三菱東京UFJ銀のサービスが特許を侵害しないことが確認できた」と話している。