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チョッとひと息
V  オークションにおける出品者評価方法
 〜システム内のデータをとことん利用して競業他社を引き離せ!〜
(2005.12.03)
 
 
タイトル5 個人オークションにおける出品者評価の現状
 今回は、ヤフーオークションやビッダーズといったオークションサイトの出品者評価システムについて考えてみることにします。
 
 ヤフーオークションやビッダーズでは、商品の外観や特徴を、画像、文章、リンク等の情報を用いて表すとともに、その商品を出品した者(出品者)の、これまでの評価を提示して、商品を購入する者が安心して取引を行えるように工夫しています。こうした出品者の評価情報は、商品を実際に手にとって見ることができず、かつ、知らない出品者から商品を購入するという、オークション取引の特性上、特に重要な情報であり、出品者の「信頼度」を判断する手がかりとなります。
 
 以下の図に示すように、現在のオークションシステムでは、出品者1が過去に出品した商品(A〜C)の購入者(1〜3)がその商品に対してした評価(a〜c)を参照することができます。ユーザは、出品者1の提供する商品Dの購入を検討する際に、これらの評価情報から、その出品者1の「信頼度」を把握し、その上で商品Dの購入をするかどうか決定します。評価(a〜c)の全てが低いものであれば、出品者1が提供する商品の品質や、取引のやりかたに問題のある可能性が高いという判断ができます。
出品者評価の概要(現状)
 また、現状のシステムにおいて、ユーザは、出品者1を評価した購入者(1〜3)が、さらにどのような評価をされているのかを参照することもできます。
   たとえば、ユーザは、以下の図に示すように、システムに出品者1の過去の出品に対する評価を一覧表示させ、さらに、その評価をした人の評価についても追跡して表示させることができます。
出品者評価ウインドウの例(現状)
タイトル4 より有効な評価を判断する、ちょっとしたコツ
 このように、他人の評価をしている人自身が、どのような評価をされているのかを見ることが出来る場合、たとえば、ヤフーオークションでは、「自分の評価が悪い人がつけたほかの人への評価は、信頼のできる評価とは限りません。」として、ユーザに注意を促しています。
 
 すなわち、これは、一般に、評価の低い人がした評価には信頼性が乏しい場合が多いことを表しています。そこで、ユーザは、購入者に関する評価を参照し、信頼性の低い購入者がした評価を無視(または軽視)することにより、出品者1の信頼性に対する、より高度な判断が期待できます。
 
・システムでの対応(1)
 こうした効果的な評価は、現状のシステムでは、ユーザが、出品者の評価、その出品者を評価した購入者の評価を逐次追跡して表示させ、その評価を参照することによって達成されます。しかしながら、出品者を評価した購入者についてまでそれぞれ追跡して判断するためには、システム上、数多くの操作が必要であり、購入者の数が多い場合には、ユーザの負担は特に大きいものとなります。また、システムの操作を繰り返しながら、各購入者の信頼度を加味して評価を考えるため、結局、総合的な出品者の信頼性がどうなのか不明のままとなることにもなりかねません。このような出品者の評価をシステムが自動的に全てやってくれたら便利ですね。
 そうすれば、ユーザは、各商品の出品者についての信頼度を一目で把握することができます。そこで、このような出品者評価システム(下図)を考えてみます。
 
 このシステムでは、出品者1の評価Xを、出品者1に評価を下した各購入者(1〜3)についての評価も用いて算出します。購入者の評価は、たとえば、購入者2については、購入者2が出品した商品を購入した購入者(4〜6)の、購入者2に対する評価(d〜f)を用いて信頼度を評価します。さらに、購入者2が出品者1に対して付与した評価bを、購入者2の信頼度に応じて無視したり(その評価を採用しない)、重み付けしたりします。従って、購入者2の信頼度が低いときに重み付けを行うと、評価bは、評価Xの計算に大きな影響を及ぼさないように調整されます。これを、それぞれの購入者(1〜3)について行い、評価Xを求めます。
出品者評価システムの改良1
 より具体的に、出品者1の評価Xに関する計算プロセスの例を表したものが下の図です。計算プロセスは、右から左に進むイメージです。
・まず、購入者(1〜3)の信頼度(1.0点から0点まで)はそれぞれ、自身にされた評価を用いて算出されます。たとえば、良い(1.0点)・普通(0.5点)・悪い(0点)の3段階評価の点数を平均して信頼度とします。したがって、すべての評価が「悪い」であった場合、信頼度は0点となります。
・次に、各購入者の信頼度で、購入者が出品者につけた評価の採否を決定します。単純な例では、購入者の信頼度が0.5点以上であった場合に、その購入者の評価を採用するといった方法です。
・その後、採用された評価だけを集めて計算し(たとえば、その平均をとり)、出品者の評価Xとします。

評価X計算イメージ
注1)ここでは、購入者の信頼度を求めるために平均値計算を行いましたが、他の様々な方法で購入者の信頼度を計算することができます。また、平均値に基づいて、購入者の評価の採否を決定していますが、信頼度等を元に、購入者の評価を「重み付け」等するようにもできます。
タイトル4 さらなる評価のコツ
 ヤフーオークションでは、「その人(評価をした人)がほかの人につけた評価も参考にしてください。」との注意書きもあります。そうです、出品者1を評価した購入者(1〜3)が、他の人をどのように評価しているかを参照することも有効なのです。これは、評価が辛くなりがちな購入者もいれば、評価が甘くなりがちな購入者もいるからで、そのような、購入者における評価傾向を把握することにより、ユーザは、購入者の出品者1に対する評価を参考にすべきかどうかを効果的に判断することができます。
・システムでの対応(2)
 上記のさらなるコツをシステムで実現するためには、出品者の評価を算出する際に、購入者(1〜3)が、他の人にした評価を加味する処理を加えればよいことになります。すなわち、システムは、購入者が他人に受けた評価を考慮して出品者の評価を算出する上述の処理に加え、(たとえば、購入者2については)、出品者2、出品者3に対して購入者2がした評価(g、h)を加味して出品者の評価を算出します。
改良された出品者評価概要
タイトル4 出品者評価システムの特許化について
・今回の評価方法のアイデアは、信頼度の求め方や評価の反映方法等に関して数多くのやり方が考えられます。ただし、これらを上位概念でとらえれば、概ね以下のようなアイデアとして表されるでしょう。
 
(1)出品者の信頼度を、その出品者が以前に出品した商品に対する、購入者の評価に基づいて決定する
(2)上記「購入者の評価」を出品者の信頼度の評価に反映させる程度を、購入者の信頼度に基づいて決定する
(3)上記「購入者の信頼度」は、購入者の出品した商品を購入した者による評価、および購入者が他の出品者にした評価のうち、少なくと一方に基づいて決定する
 
・システムが処理上の都合で、あるいは他の用途のために記録しているデータを、有効に利用してユーザの利益に資する情報を生成すること、これが、IT化、システム化、コンピュータ化のひとつのメリットです。
・ただし、特許取得可能かどうかという観点で見た場合、出品者評価のアイデアはすでにヤフーオークションサイトの注意書きに記載されており、この事実からすると、審査段階で、そのような従来の発想の(すでにヤフーオークションサイトに公開されているという意味で従来!)「単なるシステム化」であると判断される可能性が少なくありません。
 
・しかし、ヤフー自身が、この注意書きにある評価方法の発想を得たときに、そのような評価を自動的に行うシステムを特許出願していれば、特許される可能性は高かったのではないでしょうか(実際にヤフーがそのような特許出願をしているかどうかは確認をしていません。また、これより先に他社が同様のシステムについて特許出願しているかもしれません)。

注2)このシステムは、ヤフーオークションサイトの示唆に基づいてブライトビジョン特許事務所が例として示したものです。また、ここで例示したシステムは、実際の運用を考えた場合、信頼度算出精度のバラツキ、再計算のタイミング、評価算出方法などに関して解決しなければならない問題が多く残っています。